みんなの高校情報TOP >> 東京都の高校 >> 足立学園高等学校 >> インタビュー
足立学園高等学校 インタビュー
「失敗しても大丈夫」な足立学園でどんどん高みに「挑戦」してほしい校長:瀬尾匡範先生
教師を目指したのは、朧げですが、中学生の頃だったように思っていましたが、先日小学校の卒業アルバムを見ていたら「学校の先生になりたい」と書いていました。すっかり忘れていたので、少し驚きました(笑)。教師の家系というわけでもないのですが、小学校の頃から良い先生に恵まれていましたから、自然と憧れていたのでしょう。今思えば、弟の勉強を見る機会が多かったことも、教える楽しさを自覚する一因だったと思います。
足立学園(当時は足立高校)に着任したのは、大学を卒業した1986年4月でした。大学時代の剣道部顧問だった恩師からの薦めもあり、初めは非常勤講師として2年。その後、剣道関係の話から他県の学校で教えたこともあったのですが、1年で戻り、以来36年間ずっと、数学教師として、剣道部顧問として、生徒指導部長として、また2018年からは副校長として、本校の生徒たちと共に歩んできました。一度他校にいたからこそ強く思うのですが、当時から本校は、非常に居心地の良い雰囲気がありました。生徒に対してはもちろん、教員同士も互いをリスペクトし助け合うような、人を大切にする風土が根付いています。そのため、勤続年数の長い先生方が多く、遊びに来てくれる卒業生が多いことも、本校の特長の一つでしょう。
また、私が着任した当時は、ちょうど中学校の募集再開に向けて、学校改革をしている過渡期でもありました。昨年度で勇退された前校長の井上先生をはじめ、教育に対して熱心な先生方が多く、一緒にがんばってより良くしていこう、という勢いがありました。その熱意が生徒たちに伝わったからこその今の足立学園であり、私自身もまた、教員として育てられた36年だと感じています。
おかげさまで本校の入試倍率は年々右肩上がりで、今年度の中等部特別入試の倍率は5.8倍になるほど、多くの方の応募をいただいております。ぜいたくな悩みではありますが、本校を希望してくれる生徒にはぜひ入学していただきたいので、悩ましいところです。
なぜ選ばれているかは、説明会での保護者アンケートに寄せられた声を見ると、ある傾向がみられました。今はご両親ともに働いている方が増えていて、社会の実情をよくご存知です、有名大学を出たからといって、社会で活躍できるとは限らない。終身雇用制度も崩れ、先の見えない変化の激しい時代において「子どもにとっての本当の幸せとはなにか」を模索しておられる保護者の方が非常に多い。それが、以前から本校が目指している教育方針と合致した結果、お子さんを預けてくださるのだと思います。説明会で本校が大切にしている志共育の重要性をお話したところ、「これまでの自分の教育方針は間違っていたかもしれない」と涙する保護者の方もおられます。大学合格実績が人気のバロメーターという時代もありましたが、そうでないことに皆が気づき始めています。
本校の創立時の建学の精神は、「質実剛健 有為敢闘」。誠実で強くたくましく、また、優秀で人の役に立ち、最後までやりとげる男子の育成、を目指したものです。この建学の精神を、中学生でもわかりやすい言葉で表現したものが、教育目標である「自ら学び/心ゆたかに/たくましく」の3本柱になります。生徒の自主性を重んじ、男子校ならではのおおらかな空気の中でのびのびと個性を伸ばしてほしい。そんな創立時からの方針はそのまま生かし、さらに具体的な取り組みとして進めているのが、6年前にスタートした志共育です。
志共育は、教育再生実行連絡協議会、松下政経塾と連携した教育プログラムです。世のため人のために活躍できる人材(人財)を目指し、SDGs17種類のどれかにつながる「志」を立て、「志」に沿った進路目標を決めていくというもの。実際に本校の教員も全員、同じプログラムを受けています。これがなかなかに厳しい指導で、私も半年間にわたって必死に自分と向き合い、「幸せを感じられる平和な世界の実現のために、礼儀を重んじる日本人の心で、すべての人と仲良くする」という「志」を立てました。志共育は中入生からのプログラムではありますが、学校行事や探究の時間など、高入生のカリキュラムにもエッセンスを盛り込んでいます。
志共育として明言したのは前校長井上先生の6年前からですが、実は全く新しいものを取り入れたというわけではありません。本校はそもそも、地元の方の寄付でできた学校です。高校を出てすぐに社会に出る人が多かった時代、すぐに社会で活躍できる人材として必要なことを学べるように、という考えが根本にあります。これからの時代は進学指導にも力を入れていきたい、と考えていたときに、ぴたりと合致したのが、志共育のプログラムでした。そもそも「志を持って大学を選ぶ」のは、本来の姿ではないでしょうか。自分は何をしたいのか。どう生きたいのか。そのためには何を学ぶべきか。進路とは、そういう流れで決めていくもののはずです。大きな志なく偏差値などで大学を選んだ場合は、勉学に身が入らず、中退してしまったり、就職活動で思い悩んだりするようになってしまうのではないでしょうか。
もともと生徒の自主性を重んじる校風ですが、志共育に取り組み始めてからというもの、生徒たちの授業での挙手や質問が増えたという報告がありました。私が校内を見て回っていると、放課後に自習する生徒が増えましたね。やはり目標があると、自然と勉強にも力が入るようです。一人で集中したい生徒は、飲食・会話・スマートフォン禁止の自習室へ、同級生とわいわい話しながら勉強したい生徒は、職員室前のフリースペースに集まって、楽しそうに勉強しています。
かつて私が着任するよりも前の時代は、なかなかやんちゃな生徒が多い学校だったようですが、今はどちらかというと真面目な生徒が多い印象です。これは本校だけではなく、時代の変化なのかもしれません。ただ、男子校の、異性の目を気にすることなく、格好つけたり恥ずかしがったりすることなく、思い切りよく元気に行動できるのは、非常に貴重でかけがえのない時間だと思うのです。今でも、学園祭や体育祭の盛り上がりは元気の良さが炸裂しております。特に体育祭は男子校ならではの活発さで、伝統の「棒倒し」や「騎馬戦」などは、安全に配慮された中で激しい競技が繰り広げられ、最高潮の盛り上がりを見せます。たまにエキサイトしすぎて教師が止めに入るようなこともありますが、私自身が男子高出身ということもあり、男子高校生はそれくらいで元気で良いと個人的には思います。
生徒には、失敗してもいいからどんどん挑戦してほしいと思っています。体験し、失敗し、試行錯誤してこそ、学べることがあります。何もしなければ何も起きないけれど、失敗の悔しさや反省が大きいほど、学びも大きい。生徒が失敗するのを見守り、「じゃあ次はどうするの?」と生徒に問いかけるようにしています。だからもっと失敗してよいのにと思っています。体験型のプログラムを数多く提供しているのもそのためです。海外研修プログラムは7種類あり、特にアフリカ・タンザニアでのスタディ・ツアーは他校にはないオリジナルプログラムとして、受験生や保護者の方が強く関心を持ってくださっています。もともと本校には、男子校ならではの大胆なチャレンジを応援する空気があります。10代はどんな経験も糧になります。また、何か恥ずかしい思いをしても、やがて笑い飛ばせるようになるおおらかな雰囲気が、本校にはあります。
また、生徒に発破をかけるだけでは説得力がありません。教員も資格や検定に挑戦しています。私も剣道の段位に挑戦を続けています。現在7段なのですが、身体の動く限りは、合格率0.6%という最高段位の8段を目指して、研鑽を重ねていくつもりです。
どのような分野を目指すとしても、いずれは自分が活躍する分野でリーダーシップを取れる存在になってほしいですね。志に基づく自分で選んだ道を進みながら、「誰かを幸せにすることが、自分の幸せにつながる」「社会の役に立つことが、自分の人生を豊かにする」ことを学んでほしい。そして、かけがえない充実した人生の土台を、足立学園で育んでほしいと切に願います。
そういえば、生徒たちのあいだで「校長が変わって、校長室の扉は閉まるのか?」という賭けが行われていたという噂を聞きました。安心してください。以前と変わらず、校長室は会議や来客中以外はいつでも扉を開けています。だれでも入ってこられるようにしていますから、相談でも雑談でも、気軽に遊びに来てほしいですね。もちろん私も、抜き打ちで授業参観に行きますよ(笑)。

この学校の他のインタビューを読む
おすすめのコンテンツ
東京都の偏差値が近い高校
東京都の評判が良い高校
ご利用の際にお読みください
「利用規約」を必ずご確認ください。学校の情報やレビュー、偏差値など掲載している全ての情報につきまして、万全を期しておりますが保障はいたしかねます。出願等の際には、必ず各校の公式HPをご確認ください。
高校を探す
みんなの高校情報TOP >> 東京都の高校 >> 足立学園高等学校 >> インタビュー

デジタルパンフレットを見るプロフィール登録後に閲覧できます
説明会に行ってみる















































