明治大学付属世田谷高等学校 インタビュー
日本学園の伝統と明治大学のリソースを組み合わせて進化する教育
校長 谷口哲郎先生
更新日:2025年4月
共学化、校名変更、大学付属化……変化は大きいですが、その根幹は「得意」を見つけて伸ばすこと
本校は2026年度より「明治大学付属世田谷中学校・高等学校」と校名を変え、男子校から共学校となって新たな一歩を踏み出します。しかし、140年の歴史を持つ日本学園としての伝統と理念が変わるわけではありません。建学の精神に込められた「人格教育」、具体的には「心身ともに高潔な人間」「正義を見極め判断できる人間」「世界で活躍できる人間」の育成を目指すことが本校の理念です。創立者・杉浦重剛は「人は得意な道で成長すればよい」という理念を掲げました。学びは「入口」が大事だと言われますが、どこで意欲に火がつくかは人それぞれ違うもの。その発火点になりうるのが、「得意」です。だからこそ「得意」を見つけて伸ばして欲しいし、本校がそれを提供できる存在でありたいのです。苦手をなくして平均化する教育を否定するわけではありません。ただ、「得意」を軸にするからこそ見つかる道があり、生徒を導いていけると考えています。そしてその象徴となるのが「創造を発信できる力」。本校では「創発力」と呼んで、学びの軸にしています。
「国際理解教育」「キャリア教育」「理数教育」は「創発学」と連携する
この「創発力」を伸ばすために実施しているのが「創発学」です。いわゆる探究学習に近い学びですが、決定的に違うのは「体験」ありきで学びが始まること。例えば林業や漁業など、第一次産業の現場にも体験取材に出かけるところからスタートします。そこで得た自分なりのリアルな気づきから問題や課題を感じ、調査研究や発信へと繋げていくのです。
今後はここに明治大学のリソースも加えて進化させていきます。主に「国際理解教育」「キャリア教育」「理数教育」を、それぞれ創発学とリンクさせる計画です。いくつかはすでに始まっており、例えば明治大学の建築学科と本校の中学生がコラボして、登録有形文化財でもある本校校舎(一号館)を3Dスキャンするという試みも行われました。(右の写真はその発表風景)こうした「体験」が建築への興味、すなわち「得意」の入口になるという考えです。他にも国内留学やJAXA見学、化石の採掘など、「体験」をベースにした新たな学びのアイデアも次々と企画中です。実はそもそも明治大学との提携も、こうした「体験的に個々の得意を伸ばす」という考えを共有できたことが大きいんですよ。明治大学も「個を強くする」と謳っていますから。
大学進学のその先を見据えて。付属校でありながらも、進路の多様性を大切に
なぜそこまで「得意」や「個」を大事にするのかというと、本校はその長い歴史の中で、その道の第一人者と言われる卒業生を多数輩出してきました。横山大観(画家)、永井荷風(作家)、岩波茂雄(岩波書店創立者)、吉田茂(内閣総理大臣)など、分野も見事にバラバラです。それができたのも、「得意」を伸ばしてきたからこそ。突出した「得意」を持たせて「柱」にする。この人格教育の意義は歴史が証明してくれていると自信を持っています。確かに、付属校化によって明治大学に進学する生徒は格段に増えるでしょう。しかし生徒たちには、そこにとらわれず進路の多様性を大事にして欲しいです。「得意」を伸ばすうちに、美術大や音楽大に行きたいという生徒だって出てくるはずなのですから。
突き詰めて言えば、最終的に自分がどんな人間になりたいのかという、大学入試のもっと先を考えてもらいたいんですよ。そのための教育を本校でやりたい。つまり自己実現力、言い換えれば自己創造力を持った人を育てたいのです。それが、校名が変わろうとも、共学化しようとも、決して変わることのない本校の原点なのですから。
取材に協力していただいた学校
明治大学付属世田谷高等学校
1885年の創立以来「人は得意な道で成長すればよい」を実践
日本学園高等学校は、2026年4月1日から明治大学の系列校となります。系列校化に伴い、学校名を「明治大学付属世田谷高等学校」に変更し、男女共学校となります。なお、明治大学への付属高...
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