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恵泉女学園中学校 インタビュー
競い合い、支え合い、響き合う――主体性と協働性を養い、生徒を大きく成長させる「合唱コンクール」高校2年 MSさん/高校1年 MKさん/高校1年 SKさん/服部聡子先生
【MSさん】「合唱コンクール」は、中学2年生から高校1年生までがクラス対抗で課題曲と自由曲を披露し、競い合う行事です。声楽家やピアニストなど外部の専門家を審査員としてお招きし、各学年5クラス、3学年計15クラスの中で、1位から3位を決めていただきます。また「Our Choice」という生徒同士で選ぶ学年ごとの賞もあります。中学1年生は「合唱発表会」という位置づけでコンクールの対象にはならず、「Our Choice」のみを選びます。
合唱コンクールは毎年9月に行われますが、自由曲の選曲や指揮者、伴奏者選びなどの準備は5月から始まります。どんな曲を選ぶかは賞にも大きく関わるので、皆とても真剣です。中学のうちはJ-POPなども人気ですが、学年があがるにつれて難易度の高い本格的な合唱曲を選ぶようになります。毎年、先輩方の素晴らしい演奏を耳にし、優勝したい気持ちが年々高まり、最終学年の高1にもなるとかなり熱くなります。
この他にも盛り上がる行事はたくさんありますが、スポーツデー(体育祭)は学年対抗のため、同学年で競い合う唯一の行事として、合唱コンクールはつい熱量が高くなるのかもしれません。また、高2まで毎年クラス替えがあるので、新しいクラスメイトと初めて協力しあうという意味でも、合唱コンクールは重要な行事になっています。これをきっかけにクラスの仲が深まり、11月の恵泉デー(学園祭)でのクラスの展示や発表にもつながっていきます。
【MSさん】恵泉の合唱コンクールの特徴は、生徒が自分たちで作り上げる行事だという点です。中学生のうちは音楽の授業で先生の指導を受けることができますが、最終的にどんな表現をするのか、仕上げるのは生徒自身です。特に高1は音楽の授業が選択制になるため、練習の公平性を保つためにも授業では合唱コンクールの曲を扱いません。指揮者、伴奏者、各声部のパートリーダー、そして合唱コンクールの運営を担当する各クラスの文化部員が中心となり、朝や放課後にクラスで集まって練習を進めます。
朝や放課後にとれる時間は30分から長くても1時間ほどです。また、自由曲を決める頃は皆やる気があるのですが、いざ練習が始まると部活や勉強が忙しく、なかなか人が集まらないこともあります。短い時間でいかに効果的な練習をするか、どうしたら皆が集まってくれるか、それらも生徒自身で考えます。どのクラスも一度は半ば強制のように練習参加を呼び掛けてみるのですが、たいていうまくいきません。どうすれば皆で合唱を楽しめるのか。考え方を変えて、強制されなくても自主的に参加したくなるような雰囲気作りを少しずつ学んでいきます。
そしてどのクラスもコンクール直前には雰囲気が一変し、真剣なムードが漂います。全員がそろって練習する時間が増え、音や表現が整ってきます。練習期間にはいろんなことがありますが、それを乗り越え、全員で一丸となって歌う本番は、時間にすればとても短いのですが、最高の思い出になります。
【MKさん】私は小学生の頃からクラスをまとめるのが好きだったので、中2の時に指揮者に立候補し、それ以来今年で3年目になります。過去2回とも学年で一番の奨励賞をいただいたので、今年は優勝したい気持ちが強いのですが、本番が近づくにつれ、賞よりも「皆で楽しむことが一番だ」と思うようになってきました。
指揮者の役割は音楽的なことももちろんありますが、それ以上に皆をまとめることが大事です。私は声が大きいのでクラスが騒がしいのは大丈夫なのですが、定期試験前の練習では皆が落ち着かず大変でした。それでも「勉強が気になるのはわかるけれど、せっかく集まったのだから今は練習に集中しよう」と呼び掛けて何とか実のある練習ができました。
合唱コンクールで面白いのは、クラスメイトの意外な一面が見えることです。普段大人しい子が実は音楽が得意で積極的にアドバイスをしてくれたり、やる気のなかった子が友達の影響で俄然頑張り始めたり。協力し合う中で、自然といろいろな役割を分担できるのが魅力です。コンクール当日は、そうした皆の力を結集して楽しく歌えたらと思います。
【SKさん】私はピアノを弾くのが好きだったので伴奏者に立候補しました。伴奏者は皆の歌を客観的に聴けるので、音を追うことに夢中になって忘れがちな強弱や発音といった表現について指摘するなど、音楽的なアドバイスも心掛けています。今年はMKさんと同じクラスですが、にぎやかな人が多く、何より声がよく出ていて、練習時の意見交換も活発なのでとても楽しいです。
ただ以前、勝ち負けにこだわりすぎてクラスメイトの仲がギスギスしてしまったことがあったので、練習の最初に「楽しむことを忘れずにやろう」と話しました。私はもともとリーダータイプではなく、皆の前に立って話したり、皆を引っ張ったりするのは合唱コンクールが初めてでした。自分の得意なことで皆の役に立てるのが嬉しく、また指揮者やクラスの皆が信頼してくれることにとてもやりがいを感じています。恵泉には合唱コンクール以外にもさまざまな行事があり、いろいろな人が活躍できるのはいい環境だなと思います。
【服部先生】生徒達は中2から高1の3年間、合唱コンクールに参加するのですが、選曲から練習まで自主的に行うこの行事を通して多くのことを学び、驚くほど成長していきます。特に高1は、各声部の音取りから声を重ねて表現を磨くところまで、先生の指導を受けずに自分達で一から作品を作り上げます。曲の背景や歌詞の一つひとつを丁寧に研究し、皆で共通の認識を持って曲の世界を聴衆に届けようとする姿勢も素晴らしく、その自立した姿に目頭が熱くなります。
また生徒達は、芸術的側面だけでなく人間的にも大きく成長します。練習の参加率や隣のクラスとの競争意識など、時には生徒同士で衝突することもありますが、その度に何とか皆で乗り越えていきます。本気で泣いたり怒ったりするのも大切な経験です。乗り越える壁が大きいほど得るものも大きく、担任としては「フォローはいくらでもするから、思う存分衝突しなさい」という気持ちで見守っています。
クラス全員で一つのものを作り上げる体験は、学校生活の中でもやはり特別なものだといえるでしょう。コンクールが終わった後も、何かにつけて合唱を始める姿がよく見られることからも、この行事が生徒たちにとって大切な思い出になっていることがわかります。
【MSさん】恵泉の一番の魅力は人間関係の良さだと思います。まずクラスメイトとは、合唱コンクールを通じて一気に距離が縮まります。話したことがない子とも同じパートになれば自然とコミュニケーションが生まれ、「一緒に頑張ろうね」と盛り上がることができます。それに加えて、恵泉では先輩後輩の距離も近いと感じます。私はかるたクラブでクラブリーダーをしていますが、どのクラブもファミリーのような雰囲気で学年を超えて仲良くしています。さらに先生方もとても話しやすく、困ったことがあっても相談しやすいので、とても心強いです。
【MKさん】私も同じで、同学年はもちろん、先輩後輩とも親しくできるのがとても嬉しいです。私はバドミントンクラブに所属していますが、入部したその日に先輩が駅で話しかけてくれ、年齢差はあるけれど仲を深めることができました。休日には一緒に出掛けたりもしています。一緒に楽しみながらも先輩として尊敬できる姿を見せてくださるので、とても勉強になると感じています。
【SKさん】私が所属しているサッカークラブもとても仲がいいです。恵泉は、学校全体が女子校ならではの穏やかなムードに包まれているのが魅力だと思います。合唱コンクールの時などに衝突することはあっても、それはお互い真剣だからこそのことで、仲が悪いとか喧嘩などとは違います。皆フレンドリーなので話しかけやすく、本音でいろいろなことを話し合えるので、とても過ごしやすい環境です。
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