水族館スタッフの平均年収はいくら？具体的な金額や年収アップのポイントを解説！

水族館スタッフの平均年収は？

全業種・業種毎の平均年収との比較

厚生労働省が公表している「令和2年賃金構造基本統計調査」によると、水族館スタッフを含む娯楽場等接客員の平均年収は約348万円でした。平均月収は約21万円、ボーナスの平均額は42万円程度となっています。これを日本人の全業種の平均年収と比較してみましょう。国税庁によって調査された令和2年の全業種の平均年収はおよそ433万円といわれています。このことから、水族館スタッフの平均年収は日本人の平均年収に比べて、約85万円低いということになります。
続いて男女別の給与を比べてみます。男性の平均年収は約405万円、平均月収は約29万円、ボーナスの平均額は55万円程度となっています。国税庁の同調査によると、男性における全業種の平均年収は532万円となっており、男性平均に比べて127万円程度低いことがわかります。他方、女性の平均年収は約284万円、平均月収は約21万円、ボーナスの平均額は24万円程度です。男性に比べて低い水準ですが、女性における全業種の平均年収は293万円であり、男性の水族館スタッフに比べると全業種の平均に近い水準となっています。
このように比較してみると、水族館スタッフは収入面において男性・女性問わず平均よりも低い傾向であることがわかります。ただ、就職先や資格の有無によっても収入は変動し、スキルや知識を活かせる場が数多くあることなど魅力ある職業でもあるため、目指す場合にはさまざまな観点から比較検討してみることをおすすめします。

水族館スタッフの平均年収が低い理由は？？

水族館スタッフの平均年収が低い傾向にある原因は、水族館という業種そのものの性質が関係しています。水族館を含む博物館は公益性が求められているため、入場料を極端に高くして収益を上げることができません。その一方で、生き物たちを適切な環境下で飼育しなければいけないため、施設の維持・管理費の負担は大きくなっています。このようなことから、特に民営の小規模水族館などでは人件費を抑える傾向があり、結果として水族館スタッフの平均年収が低くなってしまっていると考えられます。

水族館スタッフの雇用形態別(正規・非正規・パート・アルバイト）の給与比較

水族館スタッフは正社員だけでなく、派遣社員やアルバイト・パートといった雇用形態もあります。地域にもよりますが、正社員の場合は基本的に月給制で約17万円～20万円程度です。年俸制を取っている水族館もあり、この場合は300万円程度が相場とされています。日給制の場合は8,000円～1万1,000円が相場です。派遣社員は基本的に月給制で、相場は15万円～18万円となっています。アルバイト・パートの場合は主に時給制で、1時間あたり1,000円～1,100円程度が相場となっています。1日8時間で週5日間働いたとして、月収は16万円程度です。

水族館スタッフの勤務先別（規模）の給与比較

最も平均年収が高いのは1,000人以上の規模の勤務先で約398万円です。続いて100～999人規模だと約353万円、10～100人が約318万円となっています。基本的に規模が大きい施設ほど給与水準は高くなる傾向にあるようです。もちろん、公営・民営の違いによっても異なるため一概には言えませんが、待遇面だけでみると規模の大きい水族館に勤めるほど高い収入が期待できるでしょう。しかし、規模の大きい水族館はある程度の知識や即戦力が求められるケースも多いため、キャリアスタートは小規模水族館ではじめ、スキルに応じて大規模水族館を目指すという方法もあります。
※上記のデータは「娯楽場等接客員」のものであり、動物園スタッフ等他の職業のデータも含まれています。

水族館スタッフの地域別（エリア別）の給与比較

「令和2年賃金構造基本統計調査」をみると、東京都の平均年収は405.9万円で、平均年収が一番低い沖縄県は222.1万円でした。沖縄県は日本一の集客数を誇る「沖縄美ら海水族館」があるため、意外だと感じるかもしれません。
なお、一番高い地域は山梨県の712.5万円です。参考までに北海道は327.7万円、青森県は250.2万円、茨城県は614.6万円、愛知県は306万円、大阪府は558.8万円、広島県は245.6万円、香川県は412.4万円、福岡県は326.4万円、鹿児島県は322.2万円です。平均収入については地域区分による違いはなく、都道府県ごとに大きく変化しているようです。
※なお、これらのデータは動物園スタッフなど他娯楽施設のデータも含みます。

水族館スタッフの年齢・性別の給与比較

「令和2年賃金構造基本統計調査」によると、最も年収が低い年齢層は65～69歳の「236万円」、最も年収が高い年齢層は45～49歳の「437万円」となっています。20～24歳の271万円から徐々に年収が上昇し、まだまだ体力があり知識や経験も充実してきた40代で年収のピークを迎え、60代になると落ち込む傾向がみられます。
男女によっても平均年収が異なります。業界規模が10人以上の平均年収をみると、100万円以上もの差が開いているようです。

将来、給料を上げるには？！

資格を取得する

水族館のスタッフとして収入を高めるには、業務に活かせる国家資格やその他の資格を積極的に取得することが一番の近道といえます。例を挙げると、潜水士や獣医師、スキューバダイビングライセンス（Cカード）などがあります。就職先によっては、応募条件に資格取得が入っていることもあるため、事前にリサーチして必要な資格を押さえておきましょう。資格を保持していれば、その分資格手当が支給される可能性があります。また資格取得者ということで、そもそもの給料が高くなる可能性もあります。

待遇の良い水族館に転職する

水族館は主に公営と民営に分かれます。国公立の水族館スタッフは、まず地方の公務員採用試験に合格しなければなりません。ただ公務員として就職すれば、民間の水族館に比べ給与水準が高い傾向にあるため、給与を上げることは可能だと考えられます。しかし毎年コンスタントに採用しているとは限らず、狭き門であることは間違いありません。

まとめ

水族館スタッフの平均年収は348万円です。他業種に比べると給料が低いケースもありますが、就職先によっても大きく異なります。水族館での業務は、自分自身の知識や経験を活かして活躍することができます。求められるスキルとしては海洋生物の知識や日々飼育・管理を行う忍耐強さなどがあり、仕事を続けていくことで着実に積み上げていけるでしょう。またショーやイベントを開催する際に、人々の前に立ってパフォーマンスを行うといった積極性も必要となります。興味のある人は、資格取得も含めて前向きに準備に取り組んでみてください。