動物看護師の平均年収はいくら？具体的な金額や年収アップのポイントを解説！

動物看護師の平均年収は？

全業種・業種毎の平均年収との比較

厚生労働省によって行われた調査によると、動物看護師を含む保健医療サービス従事者の全国的な平均年収は312万円です。そしてこれに対して、国税庁によって調査された令和2年の全業種の平均年収はおよそ433万円といわれています。このため動物看護師の平均年収はほかの業種と比較したときにかなり低い傾向にあるのが特徴です。もちろんこれは平均なので、低いとはいっても具体的な勤務先や地域などにもよって異なるのが実際のところですが、残念ながら高い給料にはあまり期待ができないのが動物看護師の実情になります。動物看護師は動物病院などで働いて獣医療の治療行為の補助業務を担当するため、仕事は大変なことも少なくありません。医療現場に直接的にかかわるスタッフなので、ときには動物たちの死に直面しなければならないこともあるでしょう。そういった厳しさが伴う職業になるため、決して「可愛い動物が好き」という気持ちだけでは続けていけないのも事実です。忙しい現場では、動物を可愛がる暇すらないこともあるでしょう。しかし残念ながら、それでも動物看護師の仕事は薄給になりやすく、仕事内容と見合っていないと不満を覚える人も少なくありません。これには現状資格が不要である点などが関係していると考えられますが、動物看護師を目指すのであれば、厳しい給料事情になることは覚悟しなければならないでしょう。

動物看護師の平均年収が低い理由は？？

理由として考えられることは2つあります。1つは、動物看護師には国家資格が現在必要なく（今後国家資格化される予定）、民間資格しか存在しないことです。そのため実際には資格がなくても働けることもあるため、給料はどうしても上がりづらい傾向にあるといえます。もう1つは、そもそも獣医療の現場には人間の医療現場と異なり十分な財源がないことです。というのも動物の医療費は全額自己負担となるため、飼い主さんたちはそこまで気軽に動物を病院に通わせないのが現状です。そのため結果として動物病院は経営のための十分な資金を確保することができず、人件費を削らざるを得ないのです。

動物看護師の雇用形態別(正規・非正規・パート・アルバイト）の給与比較

動物看護師の雇用形態ごとの給料の違いをチェックしていきましょう。求人ボックスによると、動物看護師の正社員の平均年収は292万円になり、最低年収は243万円程度、最高年収は522万円程度となります。そこまで給料の幅はなく、残念ながらスキルや経験などはあまり給料に反映されづらいのが実情といえるでしょう。これに対してアルバイト・パートの時給は999円が平均となっており、最低は873円程度、最高は1,143円程度です。また、派遣社員の平均時給は1,300円で、最低は1,080円程度、最高は1,725円程度になります。

動物看護師の勤務先別（規模）の給与比較

動物看護師の平均年収は、会社の規模はあまり影響しないと考えられます。やはり会社の規模が大きくなっても民間資格しか存在しないことや財源が少ないことなどのポイントは解消されにくく、あわせて給料面の待遇が上がることにも、残念ながら期待はできないのが実情です。しかしわずかながら1000人以上の規模の会社では給料も高い傾向が見られるため、少しでも給料の高さに期待するのであれば、やはり規模の大きい会社・病院を意識して就職するのが良いでしょう。
※表のデータは「その他の保健医療サービス職業従事者」のものであり、他の専門職のデータも含まれています。

動物看護師の勤務先別（規模別）の給料比較

動物看護師の地域別（エリア別）の給与比較

まず東京都の動物看護師の平均年収は341万円となっています。しかし全国的に最も年収が高い地域は東京都ではなく、最も高い年収となっているのは広島県です。広島県の動物看護師の平均年収は443万円と比較的高い傾向にあり、全業種の平均年収よりも高い結果となっているのが特徴です。しかし一方で最も平均年収が低い地域である鹿児島県では、年収200万円が平均となっており、動物看護師の全国的な平均年収と比較したときにかなり低くなっています。全業種の平均年収から見ればさらに低く、低水準の給料であると言わざるを得ないのが実情です。

動物看護師の年齢・性別の給与比較

動物看護師の平均年収は各年齢においても少々変化がみられる結果となっています。以下の表でも分かるように、やはり20代は経験やスキルの差から給料が低い傾向にあります。これに対して30代～40代は経験や役職などで給料に少々違いが出てくるものとみられ、少々高い金額になっているのが特徴です。しかしそれでも全体を見るとそこまで大きな差はなく、そしてどの年代も、残念ながら全業種の平均年収よりも低い結果となってしまっていることがわかります。

動物看護師の平均年収は、男女別でも給料に違いがあります。男性の方が年収は上がりやすく、それに対して女性はかなり低めの水準となっています。女性でも長く勤務してキャリアを積む人は増えてきているといえますが、それでも結婚や出産を機に職を離れる人が多いのが、給料が上がらない要因の一つとして挙げられるでしょう。

動物看護師の年齢別の給料比較

動物看護師の男女別の給料比較

将来、給料を上げるには？！

スキルアップする

少しでも長く同じ現場に勤務し、スキルアップを目指せば、さまざまな仕事をこなせるようになりスタッフからの信頼も厚くなります。それによってチーフや主任の職に就くことができれば、管理職として給料アップが見込めるでしょう。動物看護師の給料はそれでも低いと言わざるを得ないのが実情ですが、管理職を目指せばその分手当がついて待遇が良くなる可能性は考えられます。

別の資格を取得する

別の資格を取得することで待遇アップを目指す方法もあります。無資格の状態で働いているのであれば、認定動物看護師の資格を取得したり、その他動物衛生看護師など別の資格を取得したりすれば、勤務先によっては資格手当が望めます。業務で役立つ資格を取っておけばスキルアップにもきっとつながってくるでしょう。

転職する

動物看護師として給料を上げたいと思ったときは、別の病院やペットホテルなどに転職するのもありでしょう。転職先としてはやはり、今の勤務先よりも給料の水準が高いところ、スタッフがキャリアを形成しやすいように体制がしっかりしているところなどがおすすめです。会社として規模が大きいところであれば同じ動物看護師でも、少しでも給料アップが望めるはずです。これまでに培ってきた経験と知識を活かして転職するなら、動物看護師の管理職求人を見つけて応募するのも良いでしょう。

まとめ

動物看護師は、別の職業と比較すると残念ながら給料の水準は低い傾向にあります。地域によっては平均よりも大幅に下回ることも珍しくないため、動物看護師の仕事を探す際には、あまり高い給料は臨めないことをあらかじめ認識しなければならないでしょう。しかしながら動物看護師は今後国家資格化される動きもみられ、待遇改善の可能性もあります。スキルを磨けば平均以上の給料になる可能性もあるため、動物看護師を目指すのであれば、まずはキャリアアップの方法をしっかりチェックしておくことが大切です。