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建築士を目指せる進路は?進路別のメリット・デメリットを解説!

2022年05月31日

はじめに

この記事では、一級建築士になりたい高校生の進路選択について詳しく紹介しています。一級建築士に少しでも興味のある方はぜひご参照ください。

建築士の種類は三つ!

一級建築士

一級建築士は、戸建て住宅からオリンピック競技場まで、ありとあらゆる木造・鉄筋建築物を設計することができます。ただし、国家試験の難易度はとても高く、令和3年度の全受験者における合格者の割合は9.9%にとどまっています。

二級建築士

二級建築士は、基本的に3階以下の戸建て住宅や店舗を設計することができます。なお、木造・鉄筋のいずれも対応可能です。令和3年度の全受験者における合格者の割合は23.6%でした。ショッピングモールなどの大きな建物を設計することはできませんが、中規模建築物の設計を専門とするのであれば二級建築士免許で十分です。

木造建築士

木造建築士は、2階以下の小規模木造建築物のみ設計可能です。令和3年度の全受験者における合格者の割合は33.0%でした。なお、一級・二級建築士の受験者数が例年約2万人であるのに対し、木造建築士は600人程度と少ない傾向にあります。

一級建築士の受験資格と実務経験について

建築士法が改正され、令和2年度から改正建築士法が施行されたことで建築士になるための進路選択は複雑になっています。そこで、一級建築士を目指すための進路について考える前に、一級建築士国家試験の「受験資格」と一級建築士として登録する為に必要となる「実務経験年数」について詳しく理解しておく必要があります。
まず、一級建築士の受験資格は、建築士法第14条の中で、建築に関する学歴又は資格等によって定められています。建築に関する学歴又は資格の詳細は、「大学、短期大学、高等専門学校、専修学校等において指定科目を修めて卒業した者」、「二級建築士」、「建築設備士」「その他国土交通大臣が特に認める者(外国大学を卒業した者等)」です。
つぎに、これらの受験資格を満たしている人は、すぐに一級建築士国家試験を受験することが出来ますが、一級建築士として登録するには試験の合格だけでなく、それぞれの受験資格ごとに決められた実務経験を積むことが必須となります。実務経験の年数は、「大学の場合、2年以上」、「短期大学の場合、2~3年以上」、「専門学校の場合、2年以上」、「二級建築士の場合、二級建築士として4年以上」「建築設備士の場合、建築設備士として4年以上」、「国土交通大臣が同等と認める者の場合、所定の年数以上」と決められています。
※2022年1月現在、建築学科を持つ短期大学は日本に4校しか存在しないため、以下では説明を省略致します。

一級建築士になるには

これまで、建築士法改正後の一級建築士国家試験の受験資格と一級建築士として登録する為に必要な実務経験年数をまとめましたが、次はさまざまな進路ごとに詳しく紹介していきます。

大学・専門(建築系)ルート

建築系の大学・専門に進学し、卒業することで一級建築士国家試験の受験資格を得ることが出来ます。そして、国家試験合格後に一級建築士として登録するには、大学卒の場合二年の実務経験、専門卒の場合四年の実務経験が必要となります。なお、実務経験は、卒業後であれば試験合格の前と後のどちらでも認められ、前と後で一年ずつ分割することも認められています。

工業高卒(建築系)ルート

工業高校などの建築系の高校を卒業して一級建築士を目指す場合には、一級建築士国家試験の受験資格を満たす為に二級建築士の資格を取得する必要があります。工業高校を卒業している人の場合、二級建築士国家試験の受験資格はすでに満たされているので、二級建築士国家試験に合格し、二年の実務経験を行うことで二級建築士の資格を取得することができます。そして、二級建築士の資格を取得した後は、一級建築士国家試験の合格と、二級建築士としての四年間の実務経験を積むことで一級建築士の資格を取得することが出来ます。

高卒(普通科)ルート

普通科の高校を卒業して一級建築士を目指す場合には、一級建築士の受験資格を満たす為に二級建築士の資格を取得する必要があります。普通科の高校を卒業している人の場合、二級建築士国家試験の受験資格は7年間の実務経験を積むことで満たすことが出来ます。そして、二級建築士の資格を取得した後は、一級建築士国家試験の合格と、二級建築士としての四年間の実務経験を積むことで一級建築士の資格を取得することが出来ます。
※建築設備士ルートについては、建築設備士の進路選択記事をご参照ください。

大学、専門学校、工業高校、普通科高校ルートの比較

結論としては大学ルートに進むことが最善の選択と言えますが、その理由について説明していきます。
国土交通省による「令和3年一級建築士試験に関する報道発表資料」によると、一級建築士試験「設計製図の試験」の合格者は3765人と発表されています。そして、合格者の主な属性について学歴・資格別にみると、大学73.1%、二級建築士16.9%、専修学校4.7%、建築設備士1.4%、その他(短大、高専等)3.9%となっています。
※二級建築士の合格者に関して、二級建築士の資格のみで合格した者を指す。
※建築設備士の合格者に関して、建築設備士の資格のみで合格した者を指す。
大卒資格保有者が合格者のうちの70%以上を占める一方で、専門学校を含む専修学校卒資格保有者はわずか4.7%という結果となっています。以上のデータから、一級建築士を目指す場合には専門学校ルートより大学ルートの方が適切であると結論付けることが出来ます。つぎに、大学ルートと工業高校ルート、普通科高校ルートの比較を行うためには、二級建築士と大卒資格者の合格率を比較する必要があります。なぜなら、二級建築士資格のみの受験者とは工業高校ルートと普通科高校ルートを進んだ受験者であるからです。大卒資格での合格者が73.1%であるのに対して、二級建築士の資格のみで合格した人の割合は16.9%です。結論として、大学と工業高校と普通科高校を比較した場合でも、大学に進学することが適切であるといえます。

当記事に記載の数値や事実等に関しては、下記サイトの情報を基に作成しております

国土交通省 報道発表資料 令和3年一級建築士試験「設計製図の試験」の合格者を決定~3,765人の合格者、35.9%の合格率~
https://www.mlit.go.jp/common/001446815.pdf

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