グラフィックデザイン学科に関する評価

• 総合評価

  まず、グラフィックデザイン学科で、最初からやりたいことが決まっている人はゼロと言っていいでしょう。なんとなく自分の興味のあるジャンルだから、おもしろそうだから、格好良さそうだから、というあいまいな理由で入学する人がほとんどだと思います。実際、私もそうでした。そんな中、学生たちは入学当初からデザインという概念のあり方を徹底的に叩き込まれることになります。いままでなんとなくでしか想像できなかった職業としてのグラフィックデザインが、最先端の機器とソフトを使用することにより現実的に自分の手元で培われていくこととなります。講師は常勤、非常勤を含め様々なジャンル、企業から選ばれた人物が務めていました。恵まれた授業内容と環境でしたが逆に言えば、そこで学んだ技術を利用した自分の将来像が見えない人からすると、一癖も二癖もある時間のかかる課題が山のように出ることに苦痛を覚えることとなるでしょう。

• 就職

  私が在籍した時期は就職氷河期がピークに達した年で、新卒採用率が過去最低だった年です。そのため毎年懇意にしていた企業からも新卒採用の見送りを宣言され、才能はあるのに違った道への決意を与儀なくされる生徒も居ました。専門学校は企業と企業の交渉ですので一度内定を頂くとそこでの就職は絶対的なものと教わり、望まない企業からの内定でも断ることが出来ずそのまま就職、結果早期退職という生徒も相次ぎました。学校側は就職決定率という絶対的な数字がほしかったのでしょうが、もう少し生徒の就職に対するやる気を考えてやっても良かったのではないかと思いました。

• 資格

  私の代での資格には主に色彩検定とPOP技能検定の二つがありました。これは就職での絶対的有利な条件というよりは、自分がどの程度の技術を持っているかの判断材料になる資格といえます。合格率は良かったです。グラフィックデザインというジャンルの中では資格取得という実績よりも具体的なコンペでの入賞やデザインの採用例が絶対的な指針になってきますので、授業の中でのそのような功績や実績の方が就職の場では有利に働いていたように思います。

• 授業

  ウェブ、グラフィックソフトを使用した画像構築、デッサンとアイデア発想法など、授業の種類は多岐にわたります。また学校勤務の、グラフィック系ソフトの技術者だけでなく、実際に外で企業を経営する人物が講師となり授業を受けることが出来ていました。そのような講師は実社会での具体的な内容の課題(実際にあるコンペや依頼)を出すようになりますので、学校内と実社会の授業内容のギャップが少なくなるような感じがしました。

• アクセス・立地

  JR線、ローカル線、バスの路線ともに充実した公共機関があり、通う立地としてはこれ以上ない条件だと思います。また、学生寮もありましたのでそこから自転車で通う生徒も多く見かけました。

• 施設・設備

  校舎は比較的新しいビルでした。エレベーターもあり、生徒は皆自由に使うことが出来ました。学食がないのは残念でしたが、自販機や多目的ホールは何か所か設置しており生徒が自由に使っていました。そのほか設備に関して不満に思ったことは特に思い当たりません。

• 学費

  グラフィックデザイン学科はパソコンを使用しないとそもそも授業になりませんので生徒一人ひとりが自分用のパソコンを購入することになっていました。一般的なパソコンでは処理が間に合いませんので、高性能なパソコンを購入せねばならず、アップルのマックブックを必ず購入します。教科書料・多数の画材(デッサンノート・はさみ・カッター・マット・筆・コピック・絵具などなど)が必要ですので授業料を払う時期になると親が唸ることに、胸が痛む思いをしていました。

• 学生生活

  私の学科は女子生徒が多く、圧倒的に男子が少ないのが難点ではありましたが、他の学科が同じ校舎にありましたのでそちらの出会いで恋愛関係に進んだ生徒も知っています。私自身は出会いに恵まれませんでしたが、積極的に行動すれば楽しい学生生活が送れると思います。