多くの不登校を経験された方が通信制高校に入学し、無事卒業、その後就職や進学を果たしています。
しかし、一方で「みんなが簡単に卒業し、進学・就職を実現できているわけではない」という現実があります。
今回は「不登校から通信制高校を卒業することが出来るのか」という点の実態と、
「卒業率を高めるための3つのポイント」について、説明していきます。
「通う生徒の6割が不登校経験者」と言われる通信制高校ですが、本当に不登校から卒業することが出来るのでしょうか?
結論から言うと、「卒業は可能ですが簡単ではない」というのが現実です。
というのも、一般的な通信制高校の卒業率は平均30%程度(つまり3人に1人程)と非常に低い水準にあります。
なぜ、通信制高校の卒業率は非常に低い水準になってしまうのでしょうか?
それには、大きく2つの理由が挙げられます。
それぞれについて詳しく見ていきましょう。
通信制高校は、毎日学校に通う必要がなく、74単位以上を修得すれば卒業できる単位制の学校です。
しかし、裏を返せば
「74単位以上を習得できるかどうかは本人のやる気と計画、主体性にかかっている」
と言えます。
全日制の高校であれば、毎日学校に通い決められたとおりの時間割で勉強していくことで、卒業することができます。
一方で、通信制高校では、決められた日数のスクーリングや課題、レポート提出等はあるものの、
原則として、どのような計画で勉強していくかはすべて自由です。
課題やレポート提出の内容も、決して難しいものではありません。
しかし、「自分を律して、学習を計画的に進めていく」という事ができず、卒業できなくなってしまうという方が、不登校の方に限らず多いようです。
通信制高校にいけば、不登校にならないだろう、と思われる方も多いと思いますが、それは大きな間違いです。
現実には、通信制高校で再度不登校になり、結果として卒業できないというケースも少なくありません。
具体的には、
(1)スクーリング形式が合わない
(2)他の生徒と相性が合わない
などの理由により、不登校となることが多いようです。
それぞれ詳しく説明してきましょう。
通信制高校を卒業する為には、全日制高校のように毎日通学はしなくていいものの、年に数日~数十日は学校に通うこと(スクーリング)が必要です。
このスクーリングの形式が合わず、通信制高校を不登校になるケースがあるようです。
実際に話を聞いた生徒さんの例では、
「スクーリング以外(レポート等)は全く問題ないが、スクーリングで通う場所が固定されていて、通学に非常に時間がかかってしまうことが嫌」という方や
「スクーリングが合宿形式で、どうしても合宿に参加したくない」といった方もおられました。
そういったことから、スクーリング形式が自分の認識と異なり、そこで躓いて不登校になるというケースが散見されるようです。
通信制高校に通う理由は、生徒によって様々です。
人間関係から不登校になってしまった方
通常の勉強と並行して、専門的な勉強をしたくて入学した方
素行の悪さから通っていた学校を退学になってしまった方
など、生徒それぞれの事情や理由があります。
また、学校によっても特色が違うため集まる生徒も変わってきます。
例えば、ファッション系の専門性がある通信制高校を選ぶと、ファッションや流行に敏感な生徒さんが集まってきますし、進学系の通信制高校を選ぶと、真面目に受験勉強をしたいという生徒さんが集まってきます。
つまり、通信制高校に通う生徒の中にも様々なタイプの方がいるという事です。
そのため、スクーリングの際に一緒になった同級生とそりが合わず、それ以降のスクーリングに参加しなくなってしまい、結果的に「卒業が出来ない」という方も少なくない様です。
では、どうすれば卒業率を高められるのでしょうか?
大きく以下の3つポイントがあります。
1つずつ詳しく見ていきましょう。
サポート校は、一言でいうと、
「通信制高校+卒業や技術習得等の為のサポートが受けられる教育施設」です。
サポート校についてのより詳しい説明は、当サイト内のサポート校とは?を参照してください。
このサポート校の中には、「不登校の生徒向けのサポートが充実」しているところがあります。
具体的なサポートは、以下のようなものがあります。
(1)自宅での学習サポート
(2)テレビ、ラジオ、インターネット等を使った学習サポート
(3)定期的なカウンセリングや、専門の相談窓口の設置
1つずつ詳しく見ていきましょう。
自宅での学習サポートを行っている通信制高校・サポート校では、先生が自宅を訪れ、一対一で授業を行ってくれる為、不登校の方でも安心して学習を進めることができます。
また、このような学校の先生は、多くの不登校の生徒と接してきているため、学習のサポートに加え、メンタルサポートにも長けていて、家族には言えない悩みを聞いてくれたり、その悩みに合わせたアドバイスくれるなど、不登校自体の解決にも力になってくれます。
学習サポートをインターネット等を使って受けることで、年間最低20日程必要になるスクーリング日数が最短で年3~5日程で済む学校があります。不登校で通学に不安をもっておられる方でも、極力通学日数を抑え、卒業を目指すことができます。
また、時間や場所に縛られることなく、学習を進めることでき、レポート提出等もネット上で完結できることから、時間を有効活用することができます。
通信制高校・サポート校の中には、心理カウンセラーがスタッフとしており、定期的にカウンセリングを受けられるような学校もあります。
心理カウンセラーの方でなくとも、先生が定期的に面談をしてくれる所もあるようです。
こういった学校では、様々な不安・悩みを解消しながら通学できますので、通信制高校で不登校になる確率も格段に下がります。
学校名 | 不登校サポートの特徴 | スクーリング日数例※1 |
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クラーク記念国際高校 |
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第一学院高等学校 |
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明聖高校 |
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飛鳥未来高校 |
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トライ式高等学院 |
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N高等学校 |
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星槎国際高校 |
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鹿島学園高等学校 |
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前述したとおり、通信制高校で不登校になってしまう方の大半は、
「スクーリング形式が合わない」
「他の生徒との相性が合わない」
が原因のようです。事前に情報を調べた上で、ご自身に合った通信制高校・サポート校を選択できると良いでしょう。
各学校のHPやパンフレット、比較サイト等にて卒業に必要なスクーリング日数・スクーリング形式が掲載されています。しっかり比較して、ご自身にあったスクーリング形式を選択するようにしてください
オープンキャンパスへの参加やインターネットで通信制高校の口コミを見たり、通信制高校に問い合わせをした際にどのような生徒がいるかを聞いたりすることで、事前に情報収集することができるでしょう。
出来る限り、どんな雰囲気の生徒が多いかを調べた上で、選択するようにしましょう。
また、当サイトであれば、在校生や卒業生の口コミを多く掲載しておりますので、参考にしていただけるかと思います。是非参考にしてみてください。
上記の2点にて、通信制高校を選ぶ上でのポイントを説明しましたが、最後に1番大切なことをご説明します。
それは、通信制高校・サポート校への入学を周囲の判断ではなく、本人の意思をもって決めるという事です。
通信制高校・サポート校を卒業できるかどうかは、周囲のサポートも大事ですが、本人の意思が特に大切です。
前述したように、通信制高校・サポート校に入学したら卒業できるのではなく、卒業する為に必要な74単位以上を習得できるかどうかは本人のやる気と計画、主体性にかかっているというのが事実です。
通信制高校・サポート校へ入学する本人が「ここなら頑張れる・卒業できる」と納得した上で、入学を決めるようにしましょう。
今回の記事では、不登校に悩んでいる方向けに、情報を書いてきましたが、いかがでしたでしょうか。
不登校から通信制高校を検討される方は少なくありませんが、
通信制高校に通えば簡単に卒業できるかと言うと、決してそんなことありません。
しかしながら、不登校の方向けのサポートが充実した学校を選択する等、しっかり情報収集しご自身にあった通信制高校を選ぶことで、卒業率を高める事は可能です。
逆に、スクーリング形式や生徒の雰囲気が合わない学校に行ってしまうと、卒業が難しくなってしまう可能性もありますので、インターネット上の情報や説明会等でいろいろな情報を集めることをオススメ致します。
ご自身の状況にあったスタイルの通信制高校を見つけられることを願います。